■ 研修録
訪問診療は病院の外来の代替ではない

医師S.S (研修期間2022年4月4日~4月15日)

略歴

慶應義塾大学卒
東京都済生会中央病院初期研修医2年目(一般消化器内科志望)


研修にご参加なさる前は、地域医療(訪問診療)について、どのような印象をお持ちでしたか?

訪問診療とは病院に通うことのできないほぼ寝たきりの患者さんのご自宅や施設に訪問し、薬の処方など病院の定期外来の代わりになるものと考えていました。
地域医療期間には慢性期の患者さんへのアプローチに関して実際に自分の目で見て学びたいと考えていました。


研修内容

宮原先生と訪問看護師に同行させていただき、患者さんのご自宅や施設まで車で移動して診療を行います.病歴聴取,身体・神経所見やポータブルエコー検査などといった日々の診察に加え,腹水穿刺や膀胱瘻カテーテル交換などの手技も先生のご指導の元で,研修医が行いフィードバックもいただけます.初診の患者さんの診察時には自宅の階段の有無やトイレや風呂までの導線など細かな自宅環境を確認し,生い立ちや趣味などパーソナルな事も聴取します.医学的情報のみならず患者さんの生活・価値観などについても理解を深めます .また小講義も用意していただき、高齢者施設やポリファーマシーなどについてご教示いただきました.


研修を振り返って

訪問診療は病院の外来の代替ではないとはっきり分かりました.急性期病院を退院した後はADL向上や健康寿命の延長が主な目標になります.病院の外来では薬を処方して診察が終了しますが,訪問診療では実際に患者さんが薬を飲めているのか,薬(の形状・服薬回数・服薬時間・服薬方法)が患者さんの生活に合っているのか,ということまで診ます.そのためには残薬の確認や日々の生活環境の把握が必要になり,より患者さんの生活に近い医療を提供する必要があります.さらに,患者さんの家族や訪問看護,訪問介護,薬剤師などの方々との連携も密に行う必要があります.急性期病院に入院しているときから患者さんの退院後の生活を想定し適切な医療・介護資源へのアクセスが可能になるように退院調整を行っていくことが大切であると感じました.


今後、研修に参加される方へ

患者・家族対応では、接遇を含みこれまでの看護経験を振り返る大変良い機会になります。また、多くのことを学べる貴重な機会なので積極的に取り組む事が大切です。

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