■ 研修録
地域医療研修を通じて、退院後の生活にも配慮し個々の患者さんに合う
オーダーメイド医療を提供できる医師になりたい

医師R.N
(研修期間2021年5月10日~5月21日)


在宅医療(訪問診療)について当初考えていたことや、
学びたかったこと

高齢化が進み医療費削減のため、今後は病床数が減り、在宅診療が増えていくと考えていました。 例えば在宅クリニックで200人の患者さんを抱えている場合、200床の病院の役割を持っていると考えていました。 急性期から改善して、外来フォローにもならなかった高齢者がどのような医療や介護に繋がるのか地域医療期間で学ぼうと思いました。


研修内容について

宮原先生と訪問看護師に同行させていただき、患者さんのご自宅まで車で移動して診療を行います。 医療資源は限られているため、身体/神経所見やポータブルエコーを駆使して診療を行います。関節注射やモルヒネ持続皮下注射などの手技も先生のご指導の元で、研修医が行い、フィードバックもいただけます。 初診の場合は、ADLの低下した方が多いので、特に初診の場合は自宅の階段の有無やトイレや風呂までの導線など細かな自宅環境を確認します。 また患者さんとご家族との信頼関係が大切なため、生い立ちや趣味などを聴取して、患者さんについての理解を深めます。 クルズスも用意していただき、在宅医の視点からの誤嚥性肺炎治療などを教えていただきました。


研修を通じて学んだこと

入院中は看護師さんに内服管理されていますが、退院後はご自身で内服します。 内服コンプライアンスが不良にも関わらず、効果不十分と判断され、増量や新規薬剤追加がされているケースもありました。そのため患者さんに合った、形状や錠剤数を調整することが大切だと実感しました。 また医原性サルコペニアに関しても経験しました。入院中に神経因性膀胱で尿路感染症を合併して尿道カテーテル留置によって、ADLがPS4に低下した患者さんがいました。在宅で尿閉に注意しながら早期に尿道カテーテル抜去したところ1週間でPS3に改善しました。 急性期を脱することは大切ですが、ADLが低下しては健康寿命を伸ばしたことにはなりません。不必要な禁食やベッド上安静をやめ、早期からリハビリ介入をしたり、ポリファーマシーの解消含め、個々の患者さんに合った退院調整をすることも医師としての能力が問われると思いました。


今後、研修に参加される方へ

急性期病院で研修をしていると、意識が病気そのものに集中してしまいます。もちろん急性期を脱さなくては退院ができないので、医学的知識を高めることは大切です。 しかし退院後の患者さんがどのように生活しているか学ぶ機会が少ないと思います。 地域医療研修通じて、在宅医の視点から患者さんの背景や退院後の生活にも配慮して、個々の患者さんに合うオーダーメイド医療を提供できる医師になれると思います。

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